「おまたせしました~!」
6月19日土曜、PTA室に明るい声で入ってきた、会長の大友さん。
「今まで5年生のAKP品評会(天沼会社経営プロジェクト)に参加していたのですが、とても面白かったですよ~」
と笑顔で話す大友さんは、この取材のあとには運営委員会を控えていて、今日はおおいそがしの1日だ。
今日は広報委員会メンバーが、大友さんにPTAについて気になることを質問したいと思います。
PTAは何のためにあるのか
――いきなりですが、PTAって正直イメージがよくない部分がありますよね。
役員決めはいつも長引きますし、忙しくて負担だと思われていて、巷では「PTA不要論」なんかも聞かれます。
それに対して、大友さんはどうお考えですか?
あはは、そうですね(笑)。私も最初はPTAは不要だと思っていました。
でも実際やってみて、いまは全く逆で、必要だと思っています。
結論を先に言えば、PTAって、学校生活の安心と安全において「第三の目」なんですね。
たとえばPTAがなければ、天沼小学校の校門の守衛さんはきっといなかったと思います。
いまから20年前の大阪・池田小学校の事件をきっかけに、全国で学校の安全を守るために守衛さんを置くようになりました。
しかし数年前、杉並区が予算削減のためにそれをやめようとしたのです。
そのことに対して杉並区の各学校のPTAから不安の声があがり、各校のPTA代表が集まる場、「杉小P協」(杉並区立小学校PTA連盟協議会)から、区に強く要望したことで、今でも守衛さんが子どもたちと学校を守ってくれているのです。
――そうだったのですね。守衛さんがいらっしゃるのが当たり前だと思っていましたが、区とPTAでそんな攻防があったとは!
学校給食のクオリティも、PTAの目でチェックします。
これまでも天沼小学校PTAは、杉並区内の他校に学校給食を試食しに行き、味や栄養バランスなどをチェックしてきました。同様に、他校の方が天沼小学校の給食を試食してくれています。
天沼小学校の給食は本当においしくて、子どもたちに大人気です。それは給食の方々が一生懸命考えて日々努力してくださっているからです。もし仮に手を抜いたり、体によくないものを作ってしまうことがあったとしても、試食を通じて確認しあい、お互いの信頼と安心を得ています。
学校生活と保護者
――それは知りませんでした。以前、他県の学校の給食のレベルが低下し、パンに牛乳とちょっとした野菜だけの給食になっていたというニュースがありましたよね。
PTAがなければ、そういうことが起こり得るのかもしれないのですね。
子どもはおかしいな?と思っても、なかなか言い出せないと思いますし。
そうですね。そして、もうひとつ大事なことがあります。
PTAがなければ、保護者は子どもたちの学校生活を見ることができないのです。
というのも、学校は、子どもたちを教育する場であり、先生方はそれに全力で取り組んでいらっしゃる。
そしてたくさんの業務を抱えていらっしゃいます。
天沼小学校の場合、運動会や授業公開のときに保護者の私たちが学校に入れるのは、PTAが保護者証を作って配布しているからなのです。
PTAに運動会実行委員があったり、授業公開のお手伝いを保護者がやるようになっていたりするのもそのためです。
PTAは誰のため?
――運動会や授業公開は、子どもたちの学校生活を知ることができる貴重な機会ですもんね。PTAがなくなって、見られなくなったら悲しいです。
私の勝手な印象ですが、PTAって「子どものために」がキラーワードで、その言葉のとらえ方の違いでモヤモヤするイメージがあったのですが、実は「親のため」でもあったのですね。
はい。子どもの学校生活の安心安全を保護者がチェックすることで、保護者たちも安心できる…それがPTAが必要だと思う理由です。
少し話はそれますが、コロナのせいでここ1・2年ほど、子どもたちが楽しめる企画ができなくなっていて残念です。
またやれるようになったらいいなとは思うのですが、一方でこれらの企画を実行するには、実は相当の負担になっている、という声もあります。
いつの間にか「前年通りのことをやる」というのが前提になっていて、「やらなければならない」という義務感が生じているかもしれません。逆に、「こういうことが必要だから、やりたい、やってほしい」という要望があれば前例がないことでも、どんどん提案していただきたいのです。子どもの歯磨き講習会とか、オンライン交流会とか、そんな提案もあります。
コロナをきっかけに、あらためてPTAの活動内容を、今いるみんなで考えていくことは必要ですね。
<後編に続く>